今回の記事は、あるお笑いコンビが解散されたときに、一連を通して私が感じたことです。
こういうときにこそ、その人が本当に大事にしているものが見えてくるものだと改めて痛感いたしました。

 まず事の始まりは、そのお笑いコンビの1人が反社会的勢力のイベントに出席し、その報酬で現金をもらってしまったことからでした。
このときにその方は、最初お金を「もらっていない」と、自分を守ってしまいました。
嘘をついたこと、反社会的勢力からお金をもらったことの2点から、世間から猛バッシングを受けてしまいました。

 ここでまず私が感じたことは、

①.「そりゃあ守っちゃうやろ。人間だもの。」

②.「この問題、猛バッシングするほど悪いことか?」

です。

第一に、非常事態に自分を守ってしまう人は、たくさんいると断言できます。
逆に、己の損や被害を顧みず、周りのことを考えて行動に移せる方はほんのごくわずかです。
みなさん、自分の周りの人を見てください。
肉親でさえもどこまで命を懸けて子供を守れるでしょうか? 
イメージですが、男性より女性の方が自分を投げうって守りたい相手を守ります。
最初の時点で思わず自分を守ってしまうのは、人間性が現れて非常にかっこ悪い情けないダメな行為ですが、仕方ないことではないのでしょうか?

 また第二に、確かに会社を通さなかったことはあまり良くないことですが、知り合いに何かをしてもらって、そのお礼として相手がお金を払っただけなのです。
その金額が一般常識から考えて大きかったこと、そして払った相手が反社会的勢力であったこと、それらが問題ではあるのですが、ただもらった本人にとって、金銭は自分の中では常識であり、相手の素性は知らなかったのです。これも、甘かったとはいえ仕方のないことではないでしょうか?

 以上のことから、その当時大問題のようにマスコミに取りだたされていましたが、個人的には同情の余地は大幅にあったと思われます。
ちゃんと謝罪し続け、世間からのバッシングに真摯に受け止め続けてさいえいれば、時間がたてば確実に許されたと思います。
少なくとも、相方の人はそれを待っていました。

 ご本人も、世間から叩かれて非常に苦しく辛い中、復帰しようと懸命にもがいていたのは私も知っています。
そして、問題なのは、こういったときにこそ本当の自分が出ちゃうのです
彼は、いつからか「復帰する」という名目のもと、相方に内緒でいきなりYou tubeを始めてしまった。そして成功したいがために、1人で始めたのではなく相方と別の人をパートナーとして選んだ。
生活のために、家族のために、動かなければならないということももちろんあるのは重々分かっています。
ただ、相方からすれば「裏切られた」という気持ちを強く強く持たれたかと思います。
「信用がなくなった」とでも言いますか、これまで積み重ねてきた2人の関係が「本気の部分」とでもいいますか、何か大事なものを差し出す「覚悟」みたいなものが、相方に比べてどうしても私は感じることができませんでした。「我慢しきれず楽な方に逃げた」という印象を持ちました。

このことがあってから2人の間に少しずつ溝ができていき、結局解散してしまいます。そして、この一連の流れからある先輩芸人が次のようなことを言いました。

「最後は相方を見ていなかった」

これが全てです。本人にとって、一番大事なものは相方ではなかったのです。
それを相方も分かってしまったから、解散を決心したのではないでしょうか? 
そして、本人自身はこの事実を絶対に理解しないでしょう。
「俺は相方が大事だった」と言うでしょう。私はこのように感じました。非常に厳しい見方を言えば、「政治家の謝罪」と同様であるということ。
あれほど反省している感じが出てこないのは、己の保身を考えているからで、その考えが多ければ多いほど、どれだけ本人が本気で謝罪していようとも相手には全く響かない。

 これは、赤の他人が口で非難するのは非常に簡単です。しかし、当の本人になってみると非常に難しい。「本当の自分」が出てしまいます。

 つまり、人は追い詰められたときにこそ、今まで自分が積み重ねてきた「人間性」が出てしまうのです
本人の選択が良かったか悪かったかは別として、このお笑い芸人さんは、「家族も含めた自分自身の生活」を積み重ねてきたから一番に守ったのであって、「相方」に対するリスペクトのようなものを積み重ねてこなかったから、肝心な時に守らなかったのです。

 さて、あなたはこれまで何を積み重ねてきたでしょうか? 
 そして、何を第一に守るつもりでしょうか? 
今一度自分の生き方を確認してみてください。そうすれば、肝心な時に本当に大事なものを守りぬくことができるのではないでしょうか。